ニュースリリース

2026/1/10

2026年1月25日(日)午後オンライン開催(無料)〜全医連シンポジウム2026医師の働き方改革 海外事例を日本に導入できないか? 海外の制度改革から学ぶ、日本版モデル設計への道 ―

今回の集会で議論するテーマです。ぜひご覧ください。

申込はこちらから。

Ⅰ.シンポジウムの位置づけと問題意識
本稿は、2026年1月25日に開催される、全国医師連盟主催シンポジウム
「医師の働き方改革 ― 海外事例を日本に導入できないか?」の内容を整理し、その主要な論点をまとめたものです。

日本における医師の働き方改革は、2024年4月より本格的に始動しました。
時間外労働の上限規制を柱とする制度改正により、医師の長時間労働に一定の歯止めをかける枠組みは整備されつつあります。

しかしながら、現場の実態を見れば、時間外労働規制の導入のみでは医師の負担感は十分に軽減されておらず、
医療提供体制の持続可能性という観点からも、制度的な抜本改革には至っていないのが現状です。
むしろ、「規制を守ること」と「医療を維持すること」の両立が、個々の医師や医療機関に委ねられ、
現場が制度の歪みを吸収している状況が続いています。

これに対し、欧米諸国では、医師の過重労働を個人の献身や努力では解決できない社会的課題と位置づけ、
法制度、勤務体系、報酬構造を一体として再設計するアプローチが進められてきました。

本シンポジウムでは、こうした海外の先進的な制度改革の実例を整理し、日本の医療制度・医療文化を踏まえたうえで、
どの部分が導入可能なのか、またどこに本質的な障壁が存在するのかを多角的に議論します。

 
Ⅱ.海外事例が提示する3つの重要な視座
本シンポジウムで取り上げる海外事例は、日本の医師の働き方改革を再構築するうえで、特に重要な三つの視座を提供します。

1.地域救急制度(欧州型)
― 救急医療を「公共インフラ」として再設計する ―

欧州型の地域救急制度は、救急医療を個々の病院や医師の裁量、あるいは「善意」に依存する体制から脱却し、
地域全体で医療資源を統合的に制御する公共インフラとして再設計するモデルです。

この制度では、医師の労働時間制限を前提とした設計がなされており、
医師個人が無制限に責任を負う構造を制度的に排除することで、
医療の質と持続可能性の両立を図っています。

救急医療を「断らない」ことそのものを目的とするのではなく、
適切な患者を、適切な医療機関へ振り分けることを重視する点が大きな特徴です。

2.ナイトホスピタリスト制度
― 「昼の医師が夜も働く」前提を否定する ―

ナイトホスピタリスト制度は、「日中診療を担う医師が、夜間・休日も引き続き対応する」という前提を制度的に否定し、
夜間・休日の医療を独立した専門職務として切り出すモデルです。

夜勤や当直を「修行」や「手当のつく付随業務」として扱うのではなく、
高リスク業務として専門化し、役割・勤務体系・報酬を明確に分離することで、
医師の連続勤務を構造的に解消し、夜間医療の安全性を高めています。

3.スペイン型チーム制×地域完結モデル
― 責任を「個人」から「チーム」へ移す ―

スペイン型モデルでは、医療提供の責任単位を「医師個人」ではなく、
地域単位・チーム単位に設定します。

患者は特定の医師に「属する」のではなく、地域の保健センター(チーム)に所属し、
主治医が不在であっても医療が継続される体制が制度的に担保されています。

これにより、「この医師がいなければ医療が止まる」という属人的構造が解消され、
医師個人に課されてきた無限責任が構造的に排除されます。

 
Ⅲ.共通する本質的なポイント
これら三つの海外事例に共通する本質は、
医師の働き方改革を、単なる労働時間規制として捉えていない点にあります。

すなわち、

医師の働き方改革とは、
責任の所在を「個人」から「制度・チーム」へ移行させる改革である
という共通認識に基づいて制度設計が行われている点です。

日本でこれらのモデルを導入するためには、
診療報酬制度、医局人事、医療提供体制、さらには医療文化そのものといった、
根本的な設計思想の見直しが不可避となります。

しかしながら、これらの海外モデルは、
実効性のある「日本版・医師の働き方改革モデル」を構想するうえで、
極めて重要かつ現実的な示唆を与えるものです。

 
Ⅳ.シンポジウム開催概要
本シンポジウムは、海外の制度改革の知見を整理し、
日本への導入可能性を多角的に検討することで、
実効性のある「日本版働き方改革モデル」を描くことを目的としています。

開催概要
テーマ
 医師の働き方改革 ― 海外事例を日本に導入できないか?
日時
 2026年1月25日(日)13:00~17:00
会場
 オンライン配信
参加費
 無料
主催
 一般社団法人 全国医師連盟
 
Ⅴ.登壇者
大磯 義一郎 先生
 浜松医科大学 医学部 教授
 医事法・医療制度研究の第一人者として、法制度の観点から医師の働き方改革を分析。
橋本 岳 先生
 元衆議院議員/元厚生労働副大臣
 政策形成と医療現場の双方を熟知する立場から、日本の制度改革に向けた展望を提言。
榎木 英介 先生
 全国医師連盟 代表理事/科学ジャーナリスト。
 
Ⅵ.プログラム(予定)
1.基調講演
海外における医師の働き方改革の実情

2.事例紹介セッション
欧州を中心に、労働時間短縮、シフト制導入、勤務環境改善の具体例を紹介します。

欧州全域:オンコール拘束時間の労働時間算入
フランス:SMUR(救急当直プール)・地域ガード体制
デンマーク:地域単位での労働条件契約
3.パネルディスカッション
「日本に導入できるか? ― 障壁と打開策 ―」

法制度上の制約(労働基準法・診療報酬制度)
病院経営への影響
医師・患者双方へのインパクト
政策提言に向けた方向性
 
Ⅶ.結語
本シンポジウムは、海外事例を単に紹介する場ではありません。
医師の働き方改革を、日本の医療制度の制約と現場の実態を踏まえたうえで、
どこまで制度的に翻訳可能なのかを冷静に検討する場です。

「医師が無理をすることで成り立つ医療」から、
「制度が医師を支えることで成り立つ医療」へ。

本シンポジウムは、その転換点を展望する試みとして位置づけられます。

申込はこちらから。