【1】医療・介護に対する基本的な考え方について(自由記述)
自由民主党:
成長と分配の好循環を実現するため、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直し、全ての世代で安心できる持続可能な「全世代型社会保障」の構築に向け、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に基づき、計画的に取組みを進めます。
公明党:
疾病の予防・重症化予防などの取組みを推進し、生活の質を高め健康寿命の延伸などを図りつつ、医療費の抑制にもつなげることが重要と考えます。また、医療DXを推進することにより、医療の効率化・適正化の取り組みを強化すべきと考えます。
立憲民主党:
・世代間公平に配慮しつつ、重点化と効率化によって、子どもから高齢者にわたる、持続可能で安心できる社会保障制度を構築すべきです。
・被用者保険からの大幅な拠出金が課題となっている高齢者医療制度については、医療保険制度の持続可能性の強化と現役世代のさらなる負担軽減を含めて、抜本的な改革を目指すべきです。
・介護保険料が過度に増加することがないよう、現在25%とされている国庫負担割合の引き上げについては、財源確保策と合わせて検討します。
日本共産党:
自公政権は「少子・高齢化」を理由にして社会保障費削減路線をとってきましたが、社会保障は国民の権利であると同時に経済の重要な部分を占めています。医療・介護の負担増や予算削減は全世代の暮らしを脅かすとともに、家計の所得を減らし、国民の将来不安を増大させ、消費や景気にも大きなマイナスとなってきました。そして今、低く抑えられている診療報酬と物価高騰のもとで7割の病院が赤字となり、地域の基幹病院が入院の制限や救急医療の廃止を余儀なくされるなどの深刻な事態が起こっています。国費を投入して診療報酬を引き上げ、医療崩壊をくい止めて、医療従事者の処遇改善をはかることが必要と考えます。
国民民主党:
資産や所得の世代間格差等を踏まえ、世代間公平、若者の負担軽減に配意した税制を検討します。社会保障制度の充実・安定化を図ることで将来不安を軽減し、「現役世代も高齢者も安心して消費できる社会」をつくります。
日本維新の会:
医療・介護は大規模産業であり、人件費の適正化や効率的な運用モデルへの転換などの構造改革を図り、将来にわたって質の高い医療サービスを全ての国民に提供できる体制を確立する。
社会民主党:
地域医療を支える医療機関・クリニック等に緊急的に速やかに上記高騰分・増額・引き上げの保険診療の改定が今臨時国会(秋)補正予算にて計上されるべきです。
【2】今後の保険診療の在り方について(自由記述)
自由民主党:
少子高齢社会に対応し、国民皆保険を安定的に将来世代に引き継ぎます。人生100年時代を迎えるにあたり、全ての世代が公平に支え合う医療保険制度に向けて取組みを進めます。
立憲民主党:
・高額療養費の自己負担限度額の引き上げは行うべきではありません。まずは、その代わりに軽症患者の医療費を優先して見直すべきです。
・医療行為の効能・効果を評価し、健康上のメリットがない医療行為は保険収載から外すことを検討すべきです。
・予防医療のうち一定のものは、医療費削減効果があると指摘されています。健康増進効果があるというエビデンスがある予防医療については、保険の適用とすることを検討すべきです。
日本共産党:
物価高騰による生活苦が深刻化し、貧困が広がるなか、保険外負担・混合診療を拡大したり、給付を制限したりする改変は、支払能力による”命の格差”を生みかねません。「必要な治療はすべて保険で給付する」という国民皆保険を守り、保険給付の拡充をはかることが必要と考えます。
国民民主党:
国民皆保険を堅持し、安定した医療保険制度をつくります。医療保険制度全体の安定的な運営のため、保険者間の負担の公平化、国民健康保険の都道府県単位化など医療保険の一元的運用を進めます。現役世代の保険料負担を軽減するため、年齢ではなく負担能力に応じた窓口負担にします。健康寿命の伸長や高齢者のライフスタイルの多様化を踏まえ、後期高齢者の医療費の自己負担について原則を2割、現役並所得者を3割にします。また、「現役並所得」の判断基準について、従来の年金所得・就労所得に加え、金融所得、金融資産等の保有状況を反映させることで、世代間の支え合いに加え、世代内での支え合い機能と公平性を高めます。
日本維新の会:
増大する国民医療費に歯止めを掛けるために、余剰病床を削減し、医療DXを進め、無価値医療への保険適用のあり方を見直し、慢性期医療などに包括支払い方式を導入する。
社会民主党:
これ以上の医療崩壊をくい止めるためにも高額医療費制度を含めた国民皆保険制度の拡充・ブラッシュアップ(公費投入による)が必要である。
【3】医療機関の再編・集約化・機能分担について(自由記述)
自由民主党:
質の高い医療サービスを提供できる体制を構築するため、2040年頃に向けた新たな地域医療構想の策定・推進や、「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」を踏まえ、実効性のある医師の地域偏在・診療科偏在対策を推進します。
立憲民主党:
・地域医療構想について、コロナ禍で生じた医療提供体制の課題を十分に踏まえた見直しを適切に行い、必要な措置を講じるべきです。
・公立病院など赤字の医療機関の経営を緊急的に支える補助金制度を速やかに創設すべきです。必要であればさらなる対策を講じるべきです。さらに、全ての医療機関の赤字の状況、物価高や人件費高騰に対応するため、次期診療報酬改定で、上記補助金制度の内容を取り込んだ上でプラス改定とすることに取り組むべきです。
日本共産党:
「地域医療構想」や「11万病床削減」など、現在、政府・与党が進めている”医療費削減ありき・数値目標ありき”の強引な病床削減は、地域医療をさらに後退させて、医療崩壊を加速しかねません。医療現場の要求や地域の実情に即した集約化などには反対しませんが、今、政治が行うべきは、診療報酬の引き上げ、経営危機にあえぐ医療機関への公的支援など、地域医療を守るための支援強化であると考えます。
国民民主党:
医療機関や病床の機能分化・連携等のあり方を検証した上で、地域で必要な医療機能を提供する医療機関を支援します。また、病床等の削減ありきではなく、予期できないパンデミックなどの有事への対応等も勘案し、地域で必要となる入院医療等医療供給体制が不十分とならないよう、地域住民、患者やそのご家族、医療関係者など、幅広い意見を聞きながら丁寧な議論を行って進めていくことが必要。
日本維新の会:
地域の実情に合わせて、急性期医療から外来医療・在宅医療・介護へ機能シフトさせる。医療DXを推進するとともに、在宅医療・在宅介護の質・量を高め、初めて経験する人でも安心して使える地域包括ケアシステムを構築する。
社会民主党:
国立・公的病院・地域の医療機関の一律的な再編・統廃合は即刻止めて、地域と医療機関の実状に合った多様で豊かな地域医療を国は率先して支援・強化していくべきと考えます。
【4】その他の医療に関する課題(自由記述)
自由民主党:
医学部定員について:地域の医師確保への影響にも配慮し、医師偏在是正の取組を進め、医師需給や人口減少等の中長期的な視点に立ち、2027年度以降の医学部定員の適正化を進めてまいります。
医師偏在対策について:質の高い医療サービスを提供できる体制を構築するため、「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」を踏まえ、実効性のある医師の地域偏在・診療科偏在対策を推進します。
働き方改革について:労働基準監督署による調査に基づき、違反が認められた場合には是正勧告・改善指導がなされるものと承知しておりますが、今後とも医療従事者の方々の勤務環境の改善に努めてまいります。
OTC類似薬について:OTC類似薬の保険給付の在り方については、医療機関における必要な受診の確保を前提に、患者負担にも配慮しつつ、引き続き検討を行う必要があると考えます。
高額療養費制度について:高額療養費制度を持続可能なものとするため、患者団体をはじめとした関係者からの御意見を丁寧に伺いながら、引き続き議論を進めていきます。
在留外国人対策について:外国人の税・社会保険料の未納付防止や社会保険制度の適正な利用に向けて、未納付情報や医療費不払情報の連携による在留審査への有効活用、外国人の保険適用の在り方等の検討を行います。
予防接種について:ワクチンで予防できる病気はワクチンで積極的に対応するとの方針のもと、予防接種基本計画に基づき、公衆衛生の観点に立って、疾病負荷や費用対効果などを踏まえた定期接種化を推進します。
医療費負担について:必要な医療が受けられるよう引き続き患者負担にも配慮しつつ、給付と負担については不断の見直しが必要であると考えます。
生活保護について:将来世代への負担を先送りせずに、能力に応じて皆が支え合うことを基本としつつ、給付と負担については不断の見直しが必要であると考えます。
その他:物価や賃金が上昇する中、地域医療の基盤を守り、働く方もサービスを利用する方も継続して安心できるよう、次期報酬改定はもとより、経済対策等を通じ、公定価格の引上げなど、経営の安定や他産業に負けない賃上げにつながる迅速かつ確実な対応を行います。また全ての世代が安心でき、能力に応じて支える、持続可能な全世代型社会保障を構築します。国民皆保険を堅持しつつ2040年頃に向けた地域医療構想や「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」に基づき、安心できる医療提供体制を確保するほか医療DXを進め、医療の質と生産性の向上を図り、人口減少下においても必要なサービスを維持します。
公明党:
医師偏在対策について:地域に必要な医療提供体制の姿を明確にしたうえで、医師の配置策について経済的インセンティブを与える方法や規制的手法、オンライン診療の活用等を組み合わせた「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」に基づき、地域間や診療科間、病院・診療所間の偏在是正を大きく前に進めていきます。
OTC類似薬の保険適用除外について:医療保険制度の持続可能性を確保するため、不断の見直しは必要と考えます。そうした観点から、市販薬と効果が似ている医薬品の保険適用の見直しについても、検討すべき項目の一つであると認識しています。一方で、見直しにより大変多くの方に影響が出ることが懸念されます。特に、「現在大多数が医療費無料となっているお子さんについて、医薬品購入費が全額自己負担となってしまうこと」や「受診頻度の高い高齢者の負担が増加すること」、「低所得の方が、必要な医療品の購入を控える可能性」などに十分配慮し、丁寧に検討を進める必要があると考えます。
高額療養費制度について:高額療養費制度の自己負担限度額の見直しに当たっては、セーフティネットとしての役割や患者負担への配慮、保険制度の持続可能性等について丁寧に議論し、結論を出してまいります。
在留外国人・短期滞在者の医療費未払い対策について:外国人への医療サービスについて、社会保険料の未払いを防ぐため、保険料の未納情報を外国人の在留資格の審査に反映させるシステムを導入します。
予防接種の国庫負担について:RSウイルス、おたふくかぜについて、より高い安全性を確保して定期接種化を進めます。あわせて、男性へのHPVワクチンについても定期接種化に向けた検討を進めます。
立憲民主党:
医学部定員・医師偏在対策について:「1.今後の医学部定員」「2.医師偏在対策」については、どちらとも言えず、選択肢を選べません。そのため、以下の通り、自由記述で回答させて頂きます。
・医師の偏在解消に向けて、医学部の定員と地域枠の在り方について検討すべきです。
・政府が今年の通常国会に提出した医療法等改正案に盛り込まれている医師偏在対策については、本来の保険給付とは関連性が乏しい医師手当事業に医療保険の保険料を充てることにしており、問題です。医療保険を使った医師偏在対策ではなく、都道府県や市町村の自主性を尊重する医師確保策を実行すべきです。市町村や一部事務組合でも独自に基金を創設し、医師確保ができるようにするため、医師確保のための基金を拡充すべきです。
OTC類似薬について:「4.OTC類似薬の保険適用除外」については、どちらとも言えず、選択肢を選べません。そのため、以下の通り、自由記述で回答させて頂きます。
・国民皆保険を堅持し、安定した医療保険制度をつくる観点、誰もが必要な医療を受けられるようにする観点、医療保険財政に与える影響の観点などから検討すべきです。
高齢者3割負担について:政府が検討している、後期高齢者医療の窓口負担が3割となる人の対象の見直しは、物価高騰の中では、医療サービスの利用控えの懸念や家計への影響が大き過ぎます。物価高騰の中では認めません。
日本共産党:
医師・看護師の計画的な増員、医療従事者の処遇改善、地域医療の体制強化を進めます。高齢者医療の負担増や、高額療養費の負担増案”復活”を許さず、窓口負担の軽減・無料化をすすめます。OTC類似医薬品の保険給付外しなど、保険外治療を拡大して、患者の受療権を奪う改悪に反対します。国民健康保険料(税)を抜本的に引き下げます。マイナ保険証の強制をやめ、健康保険証を存続させます。
国民民主党:
定員・地域枠等も含め大学の医学部の適正な在り方について検討します。医師の地域偏在や診療科偏在の是正に資する診療報酬評価を行います。医療従事者の負担を軽減するため、不要な業務の削減につながる規制改革や、医師・看護師・薬剤師等が実施可能な行為や役割の見直しを進めるとともに、女性医療従事者の就業継続・再就職支援を行います。また、勤務医の働き方改革を実現するために、コ・メディカル(病院薬剤師・特定看護師・看護師等)へのタスクシフト・タスクシェアを一層推進します。
医学的知見、医療経済学的知見、(PHR個人医療情報)の分析データ等、科学的根拠に基づいた保険給付範囲の見直しを行います。特に市販薬類似の医療用医薬品(いわゆるOTC類似薬)について公的医療保険の対象から見直します。
保険外併用療養費制度(評価療養、選定療養等)の弾力化を図ることで、難病や希少疾病患者等の治療の選択肢を増やすとともに、先進的な医療の導入を促進します。特定の患者の保険外療養に対する経済的支援や、先進医療に対する民間保険の活用を進めます。
高額療養費における70歳以上の自己負担限度額の上限と外来特例を見直します。医療・介護・障害福祉等にかかる自己負担の合計額に上限を設ける総合合算制度を創設します。
外国人の社会保険の加入実態等を調査し、運用の適正化等必要な対策を講じます。
国民が正確な知識に基づき、正しい判断と行動がとれるよう、負担と給付に代表される社会保障の仕組み、がん・生活習慣病・認知症等の基本知識、薬物乱用等の不適切使用を抑止するための医薬品の基本知識、ワクチン・予防接種の基本知識等のヘルスリテラシーについて、平時からの教育や啓発の強化を進めます。
年齢ではなく負担能力に応じた窓口負担にします。健康寿命の伸長や高齢者のライフスタイルの多様化を踏まえ、後期高齢者の医療費の自己負担について原則を2割、現役並所得者を3割にします。また、「現役並所得」の判断基準について、従来の年金所得・就労所得に加え、金融所得、金融資産等の保有状況を反映させることで、世代間の支え合いに加え、世代内での支え合い機能と公平性を高めます。
貧困が命に関わる危険な状態を招く事例も少なくありません。生活保護制度について必要があれば見直しを検討します。
日本維新の会:
医師の偏在への対策と医療介護関係者の働き方改革を進めることをまず実施すべきである。
社会民主党:
OTC類似薬の保険適用からの除外などに代表される医療格差を拡げるような医療・新自由主義(市場放任・自己責任)に断固反対します。防衛費を削減した分を医療インフラ・ヒトへの投資、医療サービスの充実化のために再配分していくべきと考えます。