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■■■■■ 全国医師連盟 メールマガジン ■■■■■■■
■■ Mail Magazine from Japan Doctors League ■■■
発行:全国医師連盟メールマガジン編集部
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<第71号> 平成29年5月16日発行
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━━ INDEX ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1] ごあいさつ
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[2] 第10回 全医連集会(午後)について
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[3] 群馬大学 事故調査報告書に関する投稿をしました。
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[4] 長時間労働について
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[5] 新専門医制度が、まだ怪しい!
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[編集後記]
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ごあいさつ
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新年度も1ヶ月半を過ぎました。新しい生活を迎えられた方も
いらっしゃると思います。慣れてきましたでしょうか?
私は相も変わらず、忙殺されそうな診療に追われています。当
地は医師不足の上に病床不足。そして、押し寄せる団塊の親世代。
都市部の10年先を行っています。過労死しかけた身ですので、
自愛しながら仕事をこなしています。声を大にして、アクセス制
限の必要を説き続けています。
全医連メールマガジン(第71号)をお届けします。最近の全
医連に関する様々な情報や、今後の予定についてお伝えします。
ホームページや全医連SNS内に情報があるものなどは、リンク
を張ってあります。では、どうぞ。
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第10回 全医連集会について
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第10回全国医師連盟集会のご案内です。 http://zennirenn.com/news/2017/05/-10.html
平成29年6月4日(日)午後1時から開催します。
今回は、東京国際フォーラムG402が会場です。
今回のテーマは、
「医療における無過失救済補償制度を考える」
〜医療事故調査制度のもう一つの側面を考える〜
です。
演者:大磯義一郞先生(浜松医科大学医療法学教授)
坂根みち子先生(坂根Mクリニック院長)
中島 恒夫 (全国医師連盟代表理事)
今回も、2015年10月よりスタートしている医療事故調査制
度に関係するテーマです。無過失救済補償制度についてのシン
ポジウムおよびパネルディスカッションを開催いたします。
日常生活で遭遇してしまうかもしれない数多の事故や災害に
対して、それぞれの分野での公的救済補償制度は、微力ながら
いくつか制度化されています。また、民間でも生命保険や損害
保険といった形で商品化されてもいます。
医療の分野での事故の発生頻度も決して高くはありませんが、
ゼロではありません。しかし、医療の分野での公的救済補償制
度は、その補償対象が非常に限定的です。
・医薬品副作用被害救済制度 ・生物由来製品感染等被害救済制度 ・予防接種健康被害救済制度 ・産科医療補償制度 など
また、これらの既存の救済制度は、制度自体の問題以外に、そ
の制度の運用にも問題を孕ませたまま今日に至っています。過
失の有無にかかわらず、医療事故に遭われた方を迅速に救済で
きる補償制度は、まだまだ不十分です。
現行の医療事故調査制度については様々な批判や意見があり
ます。特に患者遺族の方々からは、厳しい意見を聞きます。し
かしながら、現行の医療事故調査制度は、事故原因の調査と再
発防止が目的です。患者遺族の救済補償のための制度ではあり
ません。また、既存の救済制度は救済対象が非常に限定的であ
り、医療全般に関する補償を求めるためには、民事訴訟以外に
術がありません。このため、医療全般に関する救済補償制度、
特に、無過失救済補償制度が必要です。
医療事故調査制度と裏表の関係でもある公的な救済補償制度
に言及しないことは、医療事故調査制度の正しい運用の妨げに
もなります。公的制度設計のありようについては、法律の知識
が重要であることはもちろん、社会正義も十分に吟味される必
要です。医療政策、病院経営、管理職、現場医師、それぞれの
観点から課題と解決策を掘り下げ、より良き社会の構築に寄与
したいと考えています。
医療関係者はもちろん、ぜひ、多くの一般の方にも参加いた
だき、一緒に考えていただければと思います。公的な無過失救
済補償制度について、参加者の皆様方とのディスカッションで
理解を深めることができれば何よりです。
全医連集会の最大の特徴は、会場との質疑応答です。講演を
単に聞くだけでなく、ディスカッションに加わっていただけれ
ば嬉しく思います。
参加申込は下記URLからお願いいたします。 https://ssl.form-mailer.jp/fms/9510f253208935
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群馬大学 事故調査報告書に関する投稿をしました。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「群馬大学医学部附属病院・医療事故調査委員会報告書の功績」と
題する文章を代表理事の中島が投稿し、MRICから配信されまし
た。 http://medg.jp/mt/?p=7465
どうぞ笑ってお読みください。
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長時間労働について
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長時間労働(長時間連続労働)が危険であることは、このメー
ルマガジンをお読みの皆さんにはもはや常識だと思います。しか
し、そう考えていない人が世の中にはまだまだ大勢いることは非
常に残念です。
もっと残念なことは、長時間労働を良しと考えている人が政府
内にもいることです。そして、もっと恥ずかしいことは、医師の
中にもいることです。そんな医師の公での発言には呆れてしまい
ました。
「法定労働時間を完全に守っていたら、医療が回らないのは分
かっている。医師はより良い医療を提供したいと思っている。し
かし、その思いに付け込んで、過重労働、不払いを強いるのは良
くない。」
これは、かつて、m3.comで配信された私の言葉です。
2014年に全医連が厚労省と交渉した時にも、長時間労働の制限
を設けるように要請しました。 http://zennirenn.com/opinion/2014/10/post-33.html
(http://zennirenn.com/opinion/images/厚労省からの回答のまとめ.pdf)
それから3年経過しても、状況は一向に改善していません。多く
の地域が医師不足で既に医療崩壊しています。医師の過重労働で支
えている地域の医療は、もはや持続不可能な状態であり、すでに崩
壊しているにすぎません。
医療崩壊の拡大を防ぐことと安全な医療を提供するためには、医
師の長時間労働の問題の解決が一番の近道です。医師の長時間労働
を制限するよう、今後も各方面に要請し続けていきます。
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新専門医制度が、まだ怪しい!
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1年間延期となった「新専門医制度」を巡る動きが、相も変わら
ず、非常に怪しい状態です。牛耳っている「日本専門医機構」のそ
もそもの目的は、専門医の質を高めることのはずでした。ところが、
実際には、大学病院などの限られた施設での「研修プログラム制」
の導入を目論み、「医師の時間と場所」を制約し、結果的に医師の
配置を差配する手段としようとしています。
その上、不透明な資金繰りで青息吐息状態です。
若手医師の皆さん、将来がかかっています。
指導医の皆さん、地域医療の将来もかかっています。
実際の医療現場の窮状を知っている医師からの声こそが一番強力で
す。皆さんの声を是非とも反映させましょう。
「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の動向に
は、今後も注視してください。 https://www.m3.com/news/iryoishin/523356?pageFrom=tb
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編集後記
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メールマガジン第71号をお届けしました。
全医連も設立して10年経ちます。世の中に何か貢献できたのか
実感はありませんが、より良い医療環境に繋がるように、少しずつ
でも活動を続けられればと考えています。
全医連メールマガジンに「このような情報も載せてほしい」「こん
な情報があります」「こんな工夫をしてみたら?」などのご意見があ
りましたら、是非お寄せ下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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●全医連メールマガジン編集責任者:代表理事 中島恒夫
全医連HP http://zennirenn.com/
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