メールマガジン

2015/10/01

<第64号>      平成27年10月1日発行

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■■■■■  全国医師連盟 メールマガジン  ■■■■■■■

■■ Mail Magazine from Japan Doctors League ■■■

           発行:全国医師連盟メールマガジン編集部

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  <第64号>      平成27年10月1日発行

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━━ INDEX ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[1] 事故調ニュース(1)

  いよいよ開始、医療事故調査制度

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[2] 事故調ニュース(2)

  「医療事故調運用ガイドライン」出版!

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[3] 事故調ニュース(3)

  医療事故調査・支援センターのレベルは、この程度!

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[4] 事故調ニュース(4)

  事故調講演、承ります!

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[5] 労働問題ニュース

  11月は、過重労働解消キャンペーン期間です。By 厚生労働省

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[編集後記]

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 代表理事の中島恒夫です。いよいよといいますか、とうとうとい

いますか、10月1日から医療事故調査制度が始まります。皆さん

のお勤めの医療機関では、準備が整っていますでしょうか? 新聞

報道も、改正医療法に則らない姿勢での報道ばかりです。「医療安

全」のための事故調査制度であることを、ことあるごとに主張し続

けていくしかなさそうです。

 全医連メールマガジン(第64号)をお届けします。今号も、最

近の全医連に関するさまざまな情報をお伝えします。では、どうぞ。

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事故調ニュース(1)

 いよいよ開始、医療事故調査制度

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 10月1日から医療事故調査制度が始まりましたが、様々な問題

を孕んだままでの運用開始です。「真相究明」「責任追及」「救済

補償」を目的とした遺族、弁護士。センセーショナルな記事として

取りあげることで売らんがため、浪花節のようなお涙頂戴文章しか

書かないメディア。保険を使いたいために職員を生け贄にする病院

管理者。支配欲の強い日本医師会、日本医学会、厚労省職員、国会

議員、地方議会議員。このような人たちによる法をねじ曲げた運用

が罷り通りそうです。

 改正医療法には、「医療安全」のための事故調査制度であると記

されており、WHOドラフトガイドラインに則った運用であること

も記されています。

 誰でも医療事故の被害者にはなりえる。そうならないためにどう

したらよいのか。医療事故調査制度の悪用が医療崩壊の決定打にな

りえるだけに、悪用する連中のお目付を続けなければなりません。

 そして、医療現場には、正しい事故調査の手法を流布しなければ

なりません。

 このメールマガジンをお読みの皆様方には、改正医療法に則った

「医療安全」のための事故調査制度が浸透するよう、お力添えをい

ただきたく存じます。

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事故調ニュース(2)

 「医療事故調運用ガイドライン」出版!

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 今回の医療事故調査制度の概要から、実際の運用まで、十分に御

理解いただいていないのが現状ではないでしょうか。それは、患者

側も、病院管理者も、現場の医療従事者も。

 それに付け込んで、様々な「違法」講習会が展開されています。

日本医師会から発表された「第二次中間答申」(http://dl.med.or.j

p/dl-med/teireikaiken/20150902_1.pdf)も、全日本病院協会か

ら発表された「医療事故調査制度に関する指針」(http://www.ajha.

or.jp/voice/pdf/150821_1.pdf)も誤った制度運用を流布してい

ます。事故の背景因子を「要点整理」という表現で隠し、再発必至

の事故調査手法を広めています。現場の医療従事者を「人柱」にす

るこの事故調査手法をとってはいけません。

 そこで、日本医療法人協会 医療事故調運用ガイドライン作成委

員会で「医療事故調運用ガイドライン」をへるす出版から刊行しま

した。WHOドラフトガイドラインに則った内容で、コンパクトに

まとめています。各医療機関で事前に準備しなければいけないこと、

実際に事故が起きた場合の対処法、報告書の作成手法などをわかり

やすく、そして、コンパクトに、かつ使いやすい内容でまとめまし

た。

 Amazonや楽天でも注文できるように進めますが、現在は、入手

がなかなか難しいようです。流通販売体制が整うまで、今暫くの間

は、ご容赦ください。

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事故調ニュース(3)

 医療事故調査・支援センターのレベルは、この程度!

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 「医療事故調査・支援センター」に指定された『日本医療安全調

査機構』ですが、その無能ぶりが公開されました。 http://www.medsafe.or.jp

 先日、医療事故事例の報告書式について、ひな形を公表しました。 http://www.medsafe.or.jp/modules/method/index.php?content_id=1

Excelでダウンロードできますが、お粗末極まりありません。報告

対象ではない事例を使っています。

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患者年齢:35歳

患者性別:○女性

診療科:内科

死亡日時:平成27年10月10日

死亡場所※2 番号

具体的な死亡場所

時間:22時50分 (共通コード参照)6

病室

“医療事故発生日時”:平成27年10月10日

“医療事故発生場所※2″ 番号

具体的な発生場所

時間:21時10~30分(頃) (共通コード参照)6

疾患名:筋委縮性側索硬化症

医療事故の状況

“身長:150.0cm、体重:32kg(平成27年10月6日(入院日)計

測)。

これまで非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)による呼吸管理を行ってき

たが、気管切開による呼吸管理を行う時期にあると判断し患者の

意思を確認し、耳鼻咽喉科に気管切開を依頼した。

平成24年10月9日(入院4日目)人工呼吸器下、SpO2は97~

100 %で安定していた。

16時24分 手術室で、耳鼻咽喉科医師による気管切開術を施行。

第3-4気管支輪をI字切開してボーカレイド(チューブ内径(ID)

6.0mm) を挿入した。術後も頻回の気管内痰吸引を要した。

平成27年10月10日(入院5日目 死亡当日)

10時 耳鼻咽喉科医師により気管切開部のガーゼ交換が実施され

た。

動脈血液ガス分析:pH 7.344、PaO2 82.7 mmHg、PaCO2

36mmHg 。

10時40分頃 気管チューブのカフ圧計を用いて15~20cmH2O

の範囲であることを確認した。

10時40分頃~21時10分まで頻回の気管内痰吸引を行った。

 分時換気量アラームも頻回に鳴っていた。患者は口を動かして

状態を訴えようとした。

21時10分 分時換気量低下アラームが鳴ったため他チームの看護

師が訪室した。患者が口話で「上を向きたい」と言ったため、左

側臥位から枕をはずして仰臥位にした。

21時40分頃 他患の対応を終えた担当看護師が廊下に出た際、人

工呼吸器の低圧アラームが聞こえたため、慌てて訪室すると、患

者が「苦しい」と声で訴えた。看護師が気管切開孔のガーゼを取っ

てみると、気管カニューレのカフが1/3程度皮膚の切開部から見え

ていたため再挿入を試みたがSpO2が低下し始めた。

21時43分 担当看護師は当直医に電話で状況報告し、応援を求め

た。

21時50分 心肺停止状態。心肺蘇生を開始した。院内救急コール

をし、家族に連絡した。

21時53分 当直医、救急医、救急看護師が蘇生に加わった。ボス

ミン1A投与、心臓マッサージ、気管カニューレからバッグバルブ

マスク換気を行った。心肺蘇生を継続したが反応しなかった。

22時50分 家族が到着。蘇生できないことを説明し、死亡確認し

た。

“医療事故調査の実施計画と今後の予定”

・院内事故調査の実施 ・

○年○月 院内事故調査結果の説明” ・

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(1)これは「予期できる」事例です。報告対象となるのは「予期

できない事故」です。

(2)これは「管理」の問題の事例です。「管理」の問題は、報告

対象ではありません。

(3)「非識別化加工」が全くできていません。関わった医療従事

者を特定できます。人物を主語にした文章「○○が……」「△△は

……」は、違法です。全てにおいて、ダメな例です。お粗末極まり

ない酷い文章です。

>疾患名:筋委縮性側索硬化症

そもそも、病名も間違っています。「専門性」も無い組織です。

 日本医療安全調査機構は、「医療事故調査・支援センター」の指

定を返上すべき、あるいは認可を取り消すべき組織です。

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事故調ニュース(4)

 事故調講演、承ります!

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 正しい事故調査手法について、代表理事の中島が講演を承ります。

日時が会えば、全国どこにでも伺います。講演費用は、交通費、宿

泊代で赤字にならない金額を設定していただければかまいません。

どこかの団体の理事や、どこかの大学教授のように、100万円もい

ただきません。

 11月2日には、佐渡島で講演します。離島でも講演します。

 お申し込み、御連絡は、全医連ホームページ(トップページ:

http://zennirenn.com)の右上にあります「お問い合わせ」でも

承ります。

 現場の医療従事者を生け贄にしないために、病院管理者が職員か

ら訴えられないために、真の医療安全のための実践的な内容をお話

しいたします。

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労働問題ニュース(1)

 11月は、過重労働解消キャンペーン期間です。By 厚生労働省

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 毎年の恒例キャンペーンですが、11月は、過重労働解消キャン

ペーン期間です。厚生労働省が主導で展開していますが、実効性は

上がっていません。

 現場で働く皆様方に気づいていただく契機として、ご利用下さい。

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編集後記

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 メールマガジン第64号をお届けしました。

 いよいよ始まった医療事故調査制度ですが、制度の誤用、悪用に

よって犠牲者が現れないことばかりを切に願っています。事故調査

の報告の是非について、事故調査手法について、事故調査報告書の

内容について、怪しい外部調査委員の言動について、どんなことで

もかまいません。何かおかしなことがございましたら、どうぞ御連

絡、御相談ください。

 この全医連メールマガジンも、世の中をより良くするために役立

つものにしていければと思い、継続してほしいと考えています。

 「このような情報も載せてほしい」「こんな情報があります」

「こんな工夫をしてみたら?」などのご意見がありましたら、是非

お寄せ下さい。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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●全医連メールマガジン編集責任者:代表理事 中島恒夫

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全医連HP      http://zennirenn.com/

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