メールマガジン

2014/10/25

<第52号>      平成26年10月25日発行

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■■■■■  全国医師連盟 メールマガジン  ■■■■■■■

■■ Mail Magazine from Japan Doctors League ■■■

           発行:全国医師連盟メールマガジン編集部

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  <第52号>      平成26年10月25日発行

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━━ INDEX ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[1]【至急】八鹿病院過労死訴訟 意見書作成について(11/4締切)

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[2] 厚労省交渉2014のご報告

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[3] 国会議員回りの予定

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[4] 11月は「過重労働解消キャンペーン」by 厚生労働省

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[5] 事故調の動きについて:厚労省は大綱案をゴリ押し!

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[6] 病床機能報告制度について

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[7] 全医連忘年会、計画中!

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[8] 会員募集、ご寄付のお願い

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[編集後記]

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 メッキリ冷え込んでいました。私の勤務する病院からは、浅間山

を眺めることができます。山頂からの噴煙が特に気になる今日この

頃です。山肌の紅葉が少しずつ里に下りてきているのがわかります。

気がつけば今年もあと2ヶ月ちょっとを残すだけ。時の流れの早さ

から取り残されているような感覚です。

 全医連メールマガジン(第52号)をお届けします。今号も、最近

の全医連に関するさまざまな情報をお伝えします。

 全医連ホームページ(http://zennirenn.com)やインターネット

上に情報があるものなどは、リンクを張ってあります。

 では、どうぞ。

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【至急】八鹿病院過労死訴訟 意見書作成について(11/4締切)

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 中原のり子さん(全国過労死を考える家族の会・東京代表)から

の依頼です。

 公立八鹿病院の研修医過労死裁判での鳥取地裁判決に対する「意

見書」を作成して欲しい、との依頼を中原のり子さんとAさん(享

年34歳)のお母様から受けました。なお、お母様からは、氏名非公

表を依頼されています。

 この裁判については、医療系ネットメディアでも報じられ、ご存

じの方も多いと思います。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201406/536946.html https://www.m3.com/iryoIshin/article/225950/ https://www.m3.com/iryoIshin/article/226345/ https://www.m3.com/iryoIshin/article/226346/

 鳥取地裁は、「医師ならば、自らの体調を自身でもっと管理でき

たはずだ」と判断しました。非常に乱暴な判断だと私は考えていま

す。これまでの多くの過重労働裁判でも、職場側から様々な「過失

相殺」の主張が繰り出されてきました。「難癖」とも言えるものま

でありました。今回、鳥取地裁は、「医学知識を持っている医師は

鬱病を予防できて当然」と判断しました。鳥取地裁のこの過失相殺

判決は、医師にとって、非常に理不尽なものだと私は思います。予

防しなかったことや、精神科受診の努力をしなかったことを理由に

過失相殺とすることは、現場を全く理解していないと思います。

 一般的に、鬱病の方は、受診機会すらも失われています。多忙な

医師であれば、なおさらそうです。「鬱の患者は自力で這い出せま

せん。助力がなければ落ち込みっぱなしです。医師であろうと同じ

です。」 これが、体験者の言葉です。

 鬱病を理解していないこの鳥取地裁判決を、皆さんは納得できま

すでしょうか? 私自身は、「医師だから過失相殺する」という判

決内容ついては、控訴すべき判決だと考えていました。鬱病に対す

る無理解があることを、全医連から指摘しても良いと考えました。

 Aさんのお母様と中原のり子さんから、控訴審に向けて、この理

不尽な地裁判決に対する「意見書」を、様々な方から上げて欲しい

との依頼が10月5日に届きました。

 なお、支援を取りまとめている団体はないそうです。「鳥取県西

部地域労働組合総連合労働相談センター」の方々が数人傍聴に来ら

れているそうですが、支援団体ではないそうです。支援者のほとん

どがAさんの友人で、ほとんどが医師だそうです。個人的な支援で、

団体を組んでいる訳ではないそうです。Aさんのお母様が「大阪過

労死を考える家族の会」に参加したことを機に、「全国過労死を考

える家族の会」と連絡を取り合ってきたそうです。

 ご意見をお寄せいただけるようでしたら、代表理事の中島宛に御

連絡下さい。意見書提出の締め切りは、11月4日です。なお、意見

書を裁判官に読んでもらうために、長さは1人A4用紙1枚以内と

してください。自書でもワープロでも構いません。また、個人名、

住所、年月日が必要です。裁判所に出された証拠は、すべて裁判所

で誰でも閲覧できますので、そのことをご承知おきください。

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厚労省交渉2014のご報告

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 苦しんでいる現場が、自分たちで声を上げなければ何も変わりま

せん。自分たちの診療環境を改善するために、9月3日に塩崎厚生

労働大臣宛に要望書を送付しました。 http://zennirenn.com/news/2014/10/10-2.html

 そして、台風が首都圏に襲来した10月6日に、厚労省で各担当部

局と直接交渉しました。副代表理事の新田先生に同席していただき、

代表理事の中島が交渉しました。

 交渉後には、厚労省記者クラブで、一般識者を対象に記者会見を

行いました。 http://zennirenn.com/news/2014/10/106.html

 今後は、この交渉を基に、衆参厚生労働委員会委員、医系議員と

の面談に入ります。

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国会議員回りの予定

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 労働環境の改善について、国会議員との面談を予定しています。

 ・11月17日(月)午後:3名

 ・11月25日(火)午後:1名+α

・12月2日(火)午後:1名+α

いずれも、代表理事の中島が面談いたします。

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11月は「過重労働解消キャンペーン」by 厚生労働省

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 労働環境の改善については、厚労省もキャンペーンを張ってくれ

ています。 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000060361.pdf

厚労省がどこまで本気なのか勘ぐってしまいますが、悪いことでは

ありませんから、ここは素直にキャンペーンに乗りませんか?

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事故調の動きについて:厚労省は大綱案をゴリ押し!

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 6月の国会で医療法が改正され、厚労省は「院内事故調査委員会

運用のガイドライン」の作成にやっきです。科研費を使って「有識

者」にガイドラインを提出させようと昨秋から画策していました。

西澤寛俊全日本病院協会会長を研究代表者に据えた「診療行為に関

連した死亡の調査の手法に関する研究」(通称:西澤班)でした。

 しかし、この西澤班が(厚労省にとって)紛糾しているため、二

川一男医政局長の権限で、厚労省内に検討部会を設置することが、

決まりました。 https://www.m3.com/iryoIshin/article/248054/

 医療事故調の最大の問題は、処分権限を強化した「大綱案」を厚

労省が復活させたがっていることです。中心人物は「大綱案」作成

に関わった二川医政局長、保岡興治衆議院議員、古川俊治参議院議

員。保岡議員は、「医師の軽過失だけ業務上過失致死罪を問わない

仕組みは作れないというのが、法務省の見解。」と発言しており、

古川議員は「医師法21条と全く切り離した事故調査は意味がない」

「大綱案は非常に美しい体系」と発言しています。「医敵」という

言葉が実に相応しい発言です。 http://www.m3.com/iryoIshin/article/247907/

 処分権限を強めたい厚労省と、訴訟(特に民事)の増加による収

入増を期待している法曹界が、医療安全の推進に最も抵抗している

と言えます。

 近々、厚労省内の検討部会の人選も公表されますが、社保審や中

医協の人選と同じ手法で、いつものとおり、現場の声を反映できな

い構成での人選です。

 はしごを外された西澤班は、その役割(存在意義)を終えたかの

ように思えますが、二川医政局長は「実務を担当してもらう」と発

言しており、予断を許しません。2年後の見直しが既定路線のため、

この時を勝負所に設定し、暗躍してくるのではないだろうかと危惧

しています。

 私たち全国医師連盟が求める事故調査委員会は、「医療安全」に

繋がる事故調査委員会です。「処分・懲罰」を目的とした調査は、

当事者の人権(黙秘権)を蹂躙し、客観的事実の収集を妨げます。

質の高い医療、安全な医療を追求する私たちの願いは、同じ医療事

故を二度とも繰り返さないことであり、さらなる被害者が生まれな

いことです。

 ちなみに、日本医師会は事故調問題に関して、大きな動きを起こ

していません。基本姿勢は厚労省の言いなりです。顧問弁護士の睨

みが効いているようでもあり、また、今後、各都道府県医師会内に

設けられている「紛争処理委員会」などへの権限委譲をもくろんで

いるからではないかと、私は勘ぐっています。

 医療事故調に関しては、「現場の医療を守る会」でも情報を共有

しています。

トップ

「現場の医療を守る会」は、日本医療法人協会の医療安全部会所属

の小委員会として「現場からの医療事故調ガイドライン検討委員会」

となり、過日、「現場からの医療事故調ガイドライン検討委員会最終

報告書(概要版)」が発表されました。

 医療事故調問題に関して、全医連に御意見を引き続きお寄せいた

だいたり、「現場の医療を守る会」にも御意見をいただけますよう、

お願いいたします。

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病床機能報告制度について

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 今年10月から病床機能報告制度がスタートします。この制度は、

今通常国会で成立した医療介護総合確保推進法に盛り込まれていた

ものです。各医療機関が自主的な判断で自院の医療機能(高度急性

期、急性期、回復期、慢性期の4つの病床機能に区分)を都道府県

に報告し、各都道府県が地域医療構想を策定する際に活用します。

今後、急性期病院の集約化などを推進し、医療費を削減することが

目的です。住民にとっては、身近な病院が機能変更を迫られたり、

公的病院同士の統廃合なども進むことが予想されます。かねてより

全医連で主張していた「医療の質を維持するための集約化」とは似

て非なるものです。

 しかし、患者・住民への公表が一向に進んでいません。国主導の

アクセス制限に対し、地域住民はどのように声を上げていくのか。

 また、平成26年度から運用が始まった地方公営企業会計制度の見

直しによって、自治体病院の予算決算にもこの制度が適用されます。

民間企業であれば粉飾決算と問われる「みなし償却制度」も廃止さ

れ、自治体病院の経営を直撃します。経営の厳しくなった自治体間

で、病院の「統廃合」を視野に入れなければ、その地域での医療の

提供そのものが危うくなりかねない事態が訪れようとしています。

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全医連忘年会、計画中!

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 御嶽山の噴火によって、下呂温泉も風評被害に見舞われています。

平成の大合併によって同じ自治体となってしまったため、60㎞も離

れた地域にまで風評被害が拡がっています。

 そこで、「下呂温泉 風評被害払拭 全医連忘年会」を12月13日

(土)に開催しようかと計画中です。地元の先生に幹事をお願いし、

下呂市金山町での開催を考えています。 http://www.seiryu.ne.jp/~kankou-kanayama/

 名古屋駅からJR髙山本線で2時間ちょっとの距離です。

 詳細は、近日中に決定いたします。メルマガ臨時増刊号を発行す

るかもしれません。お忙しい時節ではございますが、ご参加を御検

討下さい。

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会員募集、ご寄付のお願い

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 毎度のお願いで恐縮です。

 新規会員(医師限定)を募集しています。会員の皆様から納めて

いただいた会費は、「現場の医師の声」を、医療政策を立案する立

場の人たちや国会議員に届けたり、医療系メディアやマスメディア

に届けるために役立っています。多くの皆様方の会費納入、全医連

活動への御参加をお願い申し上げます。

全医連活動、総会・集会やオフ会などの集まりには、なかなか出

て来られない方も多いと思います。そのような方でも、全医連の活

動に意義を感じていただけるようでしたら、また、懐具合にちょっ

と余裕のある方は、御寄付をいただけると非常に助かります。いつ

も御寄付いただいている皆様方には、大変感謝しております。

会計年度は、毎年4月1日から翌年の3月31日までです。

会費の納入は、下記の口座、またはホームページの「入会・継続

のご案内」からお願いします。ホームページにはPayPalの窓口もあ

ります。

全国医師連盟ホームページ(寄付のご案内もあります) http://zennirenn.com/

ゆうちょ銀行

  神田支店 記号:10150

  口座番号:78411281

  口座名義:シャ)ゼンコクイシレンメイ

  (ATMなどからの振込にはコツが必要です。

   詳しくはホームページをご覧下さい)

みずほ銀行

  神田支店 支店番号:108

  普通口座 口座番号:1260830

  口座名義:シャ)ゼンコクイシレンメイ

 よろしくお願いいたします。

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編集後記

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 メールマガジン第52号をお届けしました。

 改造安倍内閣は、恒例の新閣僚の粗探しで賑わっています。政権

与党の御都合での内閣改造を、良識的な国民は醒めた目で見ていま

す。そんなドタバタを脇目に、官僚は着々とコトを運んでいたす。

 「財務省が教員を削減する」という内容の報道が出ました。様々

な資源の乏しい日本に、唯一残されている「人材」という資源をも

削ろうとする愚行です。インターネットの掲示板には、「財務省こ

そが国賊!」と書き込まれ始めています。国益とは、一部の国家公

務員の利益ではないはずです。日本にとっての国益とは何なのか、

財務省には再考してもらいたいものです。

 この全医連メールマガジンも、世の中を良くするために役立つも

のにしていければと思います。「このような情報も載せてほしい」

「こんな情報があります」「こんな工夫をしてみたら?」などのご

意見があれば、是非お寄せ下さい。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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●全医連メールマガジン編集責任者:代表理事 中島恒夫

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全医連HP   http://zennirenn.com/

メールアドレス:info@zennirenn.com

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