メールマガジン

2014/8/12

<第50号>      平成26年8月12日発行

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■■■■■  全国医師連盟 メールマガジン  ■■■■■■■

■■ Mail Magazine from Japan Doctors League ■■■

           発行:全国医師連盟メールマガジン編集部

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  <第50号>      平成26年8月12日発行

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━━ INDEX ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[1] 第7回全医連集会のあらまし

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[2] 厚労省交渉2014に向けて

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[3] 事故調の動きについて:三次試案、大綱案が復活!

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[4] 産科を取り巻く動き その1:死産の取扱について

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[5] 産科を取り巻く動き その2:集約化について

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[6] 診療報酬改訂その後:訪問診療編

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[7] 最近の代表理事の活動について

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[8] 会員募集中! ご寄付のお願い

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[編集後記]

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 今年も暑い夏が来ました。台風による被害が各地で報じられてい

ます。「想定外」の自然災害が各地で相次ぎ、「予期しない」では

済まされなくなってきました。

 脱水症、熱中症関連の患者さんも連日来院され、私の本業も非常

に「充実」しています。夏の暑さに強くない私は、患者さん共々体

調管理に腐心する季節です。皆さんも体調管理にお気を付けくださ

い。

 全医連メールマガジン(第50号)をお届けします。今号も、最近

の全医連に関するさまざまな情報をお伝えします。では、どうぞ。

━━[1]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

第7回全医連集会のあらまし

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 m3.comの配信記事はこちらです。

http://www.m3.com/iryoIshin/article/222662/

また、動画をYouTubeにアップしました。どうぞ御覧ください。

・中島(代表理事) 講演

・社会保険労務士 西脇和彦先生 御講演

・近森病院 近森正昭先生 御講演

・全体ディスカッション:司会:太田信次先生

 パネリスト:西脇和彦先生 近森正昭先生 中島

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厚労省交渉2014に向けて

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 「はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見

る」という石川啄木の歌を地で行くような日々が、ここ数年続いて

います。過重労働から狭心症を体験した身としては、何とかしたい

と、もがくばかりです。

 苦しんでいる現場が、自分で声を上げなければ何も変わらない。

自分たちの診療環境を改善するために、全医連として厚労省交渉に

臨みます。

 10月6日を交渉第1希望日としています。要請文を8月20日

を目途にまとめようと進めています。

━━[3]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

事故調の動きについて:三次試案、大綱案が復活!

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 医療事故調査機関設置を含めた医療法改正案が国会を通過してし

まいました。しかも、個人的には非常に不愉快な附帯決議文がつい

てしまいました。(自称)被害者団体、(自称)患者団体の最大の

目的である『事故調査報告書』の裁判資料への流用を可能とするた

めに、「透明性」を担保するように盛り込んできました。

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地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法

律の整備等に関する法律に対する付帯決議

平成二十六年六月十七日

参議院厚生労働委員会

 政府は、公助、共助、自助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、社会保障制度改革を行うとともに、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

二、医療法の一部改正について

2 医療事故調査制度について

ア 調査制度の対象となる医療事故が、地域及び医療機関毎に恣意的に解釈されないよう、モデル事業で明らかになった課題を踏まえ、ガイドラインの適切な策定等を行うこと。

イ 院内事故調査および医療事故調査・支援センターの調査に大きな役割を果たす医療事故調査等支援団体については、地域間における事故調査の内容及び質の格差が生じないようにする観点からも、中立性・専門性が確保される仕組みの検討を行うこと。また事故調査が中立性、透明性及び公正性を確保しつつ、迅速かつ適正に行わるよう努めること。

ウ 医療事故調査制度の運営に要する費用については、本制度が我が国の医療の質と安全性の向上に資するものであることを踏まえ、公的費用補助等も含めその確保を図るとともに、遺族から依頼による医療事故調査・支援センターの調査費用の負担については、遺族による申請を妨げることにならないよう最大限の配慮を行うこと。

(引用終わり)

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 この「透明性」は、立場によってその捉え方が180度変わります。

事故調査官の立場では、包み隠さず情報提供してもらうことが「透明

性」です。現場で働く者の立場では、再発防止策の情報共有化が「透

明性」です。(自称)被害者団体、(自称)患者団体にとっては、刑

事裁判で医療従事者を吊し上げて私怨を晴らすために、誰が悪者なの

かを明らかにさせることが「透明性」であり、その上、民事裁判で

も補償金をせしめるための証拠として流用することが「透明性」で

す。

 私たち全国医師連盟が求める事故調査委員会は、「医療安全」に

繋がる事故調査委員会です。「処分・懲罰」を目的とした調査は、

当事者の人権(黙秘権)を蹂躙し、客観的事実の収集を妨げます。

質の高い医療、安全な医療を追求する私たちの願いは、同じ医療事

故を二度とも繰り返さないことであり、さらなる被害者が生まれな

いことです。

 現在は科研費で開催されている【ガイドライン作成委員会】で院

内事故調査委員会の実際の運用を議論し、規定していきます。 https://www.m3.com/iryoIshin/article/234449/

「有識者が提案していることだから」という理由で、厚労省は採用

します。しかし、このガイドライン作成委員会の構成員の顔ぶれは

「処分・懲罰」を主張する人・団体が多数派で、出来レースと化し

ています。

 国会を既に通過した「改正医療法」の第6条の10第1項には、

「医療事故」を「予期しなかったもの」だけであると定義している

にもかかわらず、7月30日に開催された第2回会議で厚労省は、

改正医療法では削除された第三次試案・大綱案に則った届出基準の

ガイドラインへの誘導を強引に進めようとしました。これは、行政

による国会の軽視という愚行でしかなく、強行突破をもくろんだ厚

労省の全担当官僚には、然るべき処分が下されるべきです。

 この他にも、同日の会議では、患者側から事故調査を申請できる

仕組みが盛り込まれてきました。 https://www.m3.com/iryoIshin/article/238606/

 また、第2回研究会での議論では、全会一致したかのように記載

されていますが、異論が噴出していたことも封殺しようという「作

文」に仕立てられています http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000053284.pdf

 ごく一部の私利私欲に塗れた人間によって、医療崩壊のとどめを

刺されないようにしなければなりません。今後も注視してください。

 医療事故調に関しては、「現場の医療を守る会」でも情報を共有

しています。

トップ

「現場の医療を守る会」では、現在、ガイドラインの対抗案を練っ

ています。叩き台となっているのは、日本医療法人協会案です。

 厚労省内の検討委員会や国会での審議では、事故調査委員会への

届出対象となる「予期しない死亡・死産」を、病院管理者が判断す

る建前になっています。

 しかし、病院管理者による冤罪事件は、これまでに1度や2度で

はありませんでした。現場に一番近い医療従事者、勤務医が、上げ

るべき声を上げなければ、医療事故の再発を防止することはおろか、

私たち自身の身を守ることもできません。

 医療事故調問題に関して、全医連に御意見をお寄せいただいたり

(ホームページhttp://zennirenn.comの【お問い合わせフォーム】)、

「現場の医療を守る会」にも御意見をいただけますよう、お願いい

たします。

━━[4]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

産科を取り巻く動き その1:死産の取扱について

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 上記の医療事故調には、「死産」の届出も含められるように謳わ

れています。年間1万例を超える死産も届出対象とするとは、正気

の沙汰には思えません。日本医師会の事故調担当理事は産婦人科医

のはずですが、日医内で議論が無かったのか実に不思議です。

 そういえば、日医内では以前にも事故調担当の産婦人科医がいた

ことを思い出しました。

━━[5]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

産科を取り巻く動き その2:集約化について

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 医療崩壊の象徴とされた産科の救世策となるのか、産科婦人科学

会から「分娩取扱病院の集約化」が報じられました。 https://www.m3.com/iryoIshin/article/226840/

産科の立場にいない者からすると、1100→600施設への集約化は大

胆な提案に思えますが、発表された海野信也先生のお話では、「都

市部の集約化」を想定されているとのことです。地方の分娩取扱施

設は既に集約化させられてしまったのが実状なのだと思います。

━━[6]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

診療報酬改訂その後:訪問診療編

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 今年の診療報酬改訂の瑕疵も次々と露呈してきています。その中

でも、メディアで取りあげられているのが、「特定施設等入所者へ

の在宅患者訪問診療料」の改定による撤退です。 http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014072001001424.html

調査の対象となった1764施設中、「155施設」という数字が多いのか

少ないのかは議論の分かれるところかと思います。

 しかし開業医の立場とすれば、「減額」を前面に出されてしまう

ことは本意では無いと思います。囲い込みの手法が、非常勤医師に

よるアルバイト業務(派遣)であったり、生活保護受給者を囲い込

んで運営している事業者の存在には触れていません。社会保障全般

の歪みが、医療という記事にしやすい場面でしか取りあげられてい

ないことは残念です。

 勤務医の私には、強引な病院受診が増加しているような気がして

います。単一施設から、一人の職員さんが3人の利用者を車椅子に

乗せて受診されることが珍しくなくなってきました。その御苦労な

様子は、霞ヶ関からでは見えないでしょう。

 「囲い込み」と呼ばれる手法への対抗策としてこの改定を厚労省

は打ち出しましたが、「cost」「access」「quality」のバランス

が決壊した現象でしかありません。厚労省が「cost」をケチった皺

寄せとして「access」が制限され、個々の患者さんに提供できる医

療の「quality」は下がり、その他の外来患者さんの診療時間も削ら

れ、医療従事者の過重労働を助長する結果になっただけでしょう。

 蛇足ですが、最後に、訪問マッサージは減額になっていません。

何だかなぁ……

━━[7]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最近の代表理事の活動について

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 少し前になりますが、NHKスペシャルに出演しました。 http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0531/

5時間弱に及ぶ収録を1時間少々に「編集」されていましたので、

物足りなさがあったかと思います。当家にはビデオレコーダーが無

いため、NHKの担当ディレクターがDVDを送付してくれました。

 また、医事新報に、事故調関連のエッセイを執筆しました。他愛

も無い文章ですが、目の前の患者さんに十分な診療を提供するため

には、厚労省の誘導する事故調が「有害」でしかないことをしたた

めました。医事新報を購読されていらっしゃらないようでしたら、

御連絡いただければ、転送いたします。全医連ホームページから、

御連絡ください。

(ホームページhttp://zennirenn.comの【お問い合わせフォーム】)

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会員募集中!

ご寄付のお願い

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 毎度のお願いで恐縮です。会員を募集中です。また、ご寄付も承っ

ています。皆様からご寄付は、「現場の医師の声」を、医療政策を

立案する立場の人たちや国会議員に届けたり、医療系メディアやマ

スメディアに届けるために役立っています。多くの皆様方の全医連

への入会や、全医連活動への御参加をお願い申し上げます。

全医連活動、集会やオフ会などの集まりには、なかなかご参加出

来ない方も多いと思います。そのような方でも、全医連の活動に意

義をお感じいただけるようでしたら、また、懐具合にちょっと余裕の

ある方は、是非ともご寄付という形で全医連活動にご参加いただける

と非常に助かります。いつも御寄付いただいている皆様方には、大変

感謝しております。

全医連への参加御希望は、全医連ホームページから、御連絡くだ

さい。会計年度は、毎年4月1日から翌年の3月31日までです。 http://zennirenn.com/admission/#001

ご寄付は、下記の口座、またはホームページの「入会・継続のご

案内」からお願いします。ホームページにはPayPalの窓口もござい

ます。

全国医師連盟ホームページ(寄付のご案内もあります) http://zennirenn.com/

ゆうちょ銀行

  神田支店 記号:10150

  口座番号:78411281

  口座名義:シャ)ゼンコクイシレンメイ

  (ATMなどからの振込にはコツが必要です。

   詳しくはホームページをご覧下さい)

みずほ銀行

  神田支店 支店番号:108

  普通口座 口座番号:1260830

  口座名義:シャ)ゼンコクイシレンメイ

 よろしくお願いいたします。

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編集後記

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 メールマガジン第50号をお届けしました。

 あと8ヶ月となった代表理事の任期中に、少しでも課題を減らし

たいと頑張っています。引き続き、皆様方のお力添えをいただきた

いと存じます。

 この全医連メールマガジンも、世の中を良くするために役立つも

のにしていければと思います。「このような情報も載せてほしい」

「こんな情報があります」「こんな工夫をしてみたら?」などのご

意見があれば、是非お寄せ下さい。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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●全医連メールマガジン第50号編集責任者:代表理事 中島恒夫

 (↓SNSのページ)

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全医連HP      http://zennirenn.com/

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