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解説・オピニオン

[声明]10月6日 勤務医の就業環境の改善に関する厚生労働省への要請を行いました。

 県立奈良病院の勤務医からの時間外勤務手当請求訴訟が、平成25年2月、最高裁の上告不受理決定により「平成22年大阪高裁判決 平成21年(行コ)第81号(奈良県立病院訴訟)」で確定し、勤務医の時間外勤務に関する判例が確立しました。これを踏まえ、私ども一般社団法人全国医師連盟(以下、全医連)は、全国47都道府県立病院の勤務医がどのような就業環境下におかれているかを再確認する目的で、宿日直許可証、労働基準法第三六条に基づく労使協定(以下、三六協定と記す)、労働基準監督署からの是正勧告書等を情報開示請求にて調査し、その結果を平成26年6月8日の第7回全国医師連盟集会で公表しました。


 私たちの調査では、以下の項目をはじめ、別紙添付資料1)2)3)の内容が明らかになりました。


・多くの都道府県立病院で宿日直許可を得ていないこと。

・時間外勤務を規定する三六協定を締結していない都道府県立病院が多いこと。

・過労死基準をはるかに超過する長時間残業を可能としている三六協定が存在すること。

・協定の時間を超えて時間外勤務が行われている都道府県立病院が多いこと。


この結果も踏まえ、医療の継続性や患者の安全確保には医療従事者の過重な労働環境の是正や改善が不可欠であることを、私たち全医連は指摘します。また、自治体病院はもとより、民間病院を含むすべての医師の就業体制に、上記の司法判断が反映され、医療従事者の過重労働が是正されなければならないとも考えます。さらに、すべての施設管理者・設置者、職員、および労働組合に対して、労働基準法に定められた労働時間・休憩・休日の規定を遵守した医師の労働条件を実現するよう、厚生労働省が先頭に立って啓発指導されることを強く要望しました。


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平成26年9月3日


勤務医の就業環境の改善に関する厚生労働省への要請


厚生労働大臣 塩崎恭久 殿


一般社団法人全国医師連盟



代表理事 中島恒夫



 県立奈良病院の勤務医からの時間外勤務手当請求訴訟が、平成25年2月、最高裁の上告不受理決定により「平成22年大阪高裁判決 平成21年(行コ)第81号(奈良県立病院訴訟)」で確定し、勤務医の時間外勤務に関する判例が確立しました。これを踏まえ、私ども一般社団法人全国医師連盟(以下、全医連)は、全国47都道府県立病院の勤務医がどのような就業環境下におかれているかを再確認する目的で、宿日直許可証、労働基準法第三六条に基づく労使協定(以下、三六協定と記す)、労働基準監督署からの是正勧告書等を情報開示請求にて調査し、その結果を平成26年6月8日の第7回全国医師連盟集会で公表しました。


 私たちの調査では、以下の項目をはじめ、別紙添付資料1)2)3)の内容が明らかになりました。

・多くの都道府県立病院で宿日直許可を得ていないこと。

・時間外勤務を規定する三六協定を締結していない都道府県立病院が多いこと。

・過労死基準をはるかに超過する長時間残業を可能としている三六協定が存在すること。

・協定の時間を超えて時間外勤務が行われている都道府県立病院が多いこと。


この結果も踏まえ、医療の継続性や患者の安全確保には医療従事者の過重な労働環境の是正や改善が不可欠であることを、私たち全医連は指摘します。また、自治体病院はもとより、民間病院を含むすべての医師の就業体制に、上記の司法判断が反映され、医療従事者の過重労働が是正されなければならないとも考えます。さらに、すべての施設管理者・設置者、職員、および労働組合に対して、労働基準法に定められた労働時間・休憩・休日の規定を遵守した医師の労働条件を実現するよう、厚生労働省が先頭に立って啓発指導されることを強く希望します。


1、厚生労働省への基本的要請


 医師の健康のみならず、医療を受ける患者の安全と安心の確保のため、不適切な長時間労働や連続労働が常態化している勤務医師の就労実態に対して、労働行政を所管する厚生労働省や労働基準局のみならず、医療機関を所管する医政局、保険医療を所管する保険局等が相協力して、実効性のある改善措置を講じることを求めます。特に医政局に対しては、今秋実施を予定している「医療勤務環境改善マネジメントシステム」などを通じて、具体的な解決策、指針を設けることを求めます。

 また、医師ならびに医療職員の適正な労働条件を実現するために、労働関連法規と過去の裁判例が示す法の解釈と運用の基準を公然と無視する医療機関・福祉施設に対して、使用者への強制捜査・刑事立件を含む厳正な措置を労働基準監督署に執らせることを、全医連は切望いたします。


2、前掲の要請事項の実現に向けて、厚生労働省への具体的に要請する施策


(1)適正な労務管理

 病院管理者・経営者に対して、労働者である勤務医の労働時間に関する労働法規を、正確に周知させることを求めます。特に、平成13年に発せられた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する指針」に沿って、全医療機関の使用者に対して、勤務医の労働時間を正確に把握させ、その上で、正当な割増賃金を支払うなどの適切な労務管理を行っているかについて、労働基準局において調査・是正指導させることを求めます。

(2)宿日直許可

 県立奈良病院訴訟の判決と、基発第0319007号(平成14年3月19日)によれば、夜間及び休日の救急外来業務を伴う病院における医師のいわゆる「日直、当直」が、労基則23条に基づく「宿日直」の許可の要件に該当し得えないことは明らかです。その場合、日当直勤務に就く全ての時間が労働時間であり、労基法37条の割増賃金の支払いが必要であることを、病院管理者・経営者に周知徹底することを求めます。

さらに、全病院に対して、その労務実態を改めて調査し、宿日直許可を得ていない病院に対しては申請を促し、過去に宿日直許可を得ていても宿日直許可の要件基準に合致しない病院に対しては、それを取消すことを求めます。


(3)三六協定

 勤務医に時間外労働をさせている医療機関に対しては、適切な三六協定を速やかに締結して届出るよう、労働基準局及び労働基準監督署が指導・徹底すること求めます。なお、三六協定を締結するにあたり、「時間外労働の限度に関する基準」(平成10年12月28日 労働省告示第154号)を遵守させることを求めます。


(4)名ばかり管理職

 労働基準法第41条第2号に定められている管理監督者の要件に該当しない勤務医を管理職として扱い、労働時間、休憩及び休日の規定を適用せず、実際の労働時間の如何に関わらず、法に定める割増賃金を支払わず、長時間の時間外労働をさせている病院が多数認められます。

 労働基準局のみならず、医政局も病院など医療事業所の使用者に、管理監督者の範囲について明確に示して指導徹底するよう求めます。


(5)長時間労働の制限

 労災保険における過労基準を超える時間数での三六協定が、多くの医療機関で締結、届出されており、多くの勤務医が過労による傷病と死の危険に晒されています。また同時に過労に起因する医療事故発生の危険が高まり、医療従事者のみならず患者への不利益につながっています。

こうした長時間労働に起因する医療従事者の健康障害を抑止し、医療の安全性向上を図るために、医療従事者の連続労働時間や勤務間インターバル、総労働時間を規制する法改正または立法が実現するよう、速やかに検討されるよう希望します。


(6)管理者の産業医兼務禁止

 私たち全医連の今回の調査で、病院管理者・経営者が自ら産業医に就いている医療機関が少なからずあることを確認しました。本来、経営主体からの独立性・中立性が求められる産業医に、病院管理者・経営者自身が就くことは労働安全衛生法の理念と齟齬し、望ましいことではないのは明らかです。厚生労働省は、病院の院長など医療事業所の使用者が、自身の医療機関の産業医を兼務してはならないことを、明確に示して周知徹底させるよう、速やかに必要な措置を取ることを要望します。



3、最後に

 平成26年5月15日に、全国医師ユニオン、日本医労連より厚生労働大臣に「勤務医労働の改善等に関する厚生労働省への要請」が行われています(別紙4)。この要請では、医療関係者への労働基準法の周知、交代制勤務の導入による医師の過重労働の正常化、年俸制契約における時間外勤務手当支払いの適法化、大学における裁量労働制の限定的な適用、今般法案が成立した医療事故調査における環境要因の重視などが含まれています。全国医師連盟はこれらの指摘もまた支持するものであり、私たちの要請に併せて実現を求めます。

別紙1)http://zennirenn.com/news/2014/06/post-61.html

別紙2)https://www.youtube.com/watch?v=MjweA9jBfH4

別紙3)http://www.m3.com/iryoIshin/article/222662/

別紙4)http://union.or.jp/30/2014515.html

2014年10月06日 全国医師連盟

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