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[ニュースリリース]医療事故調査関連の医療法改正案への公開質問

 厚生労働省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」(以下、検討部会)は、5月29日、諸々寄せられた反対意見を無視する形でとりまとめられ、終了しました。厚労省は、4月18日の第12回検討部会においてとりまとめられた「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方と論点」を基本とした「医療事故調査を行う第三者機関の創設を盛り込んだ医療法改正法案」を、今秋の臨時国会に提出する方針を目指していると考えられます。

 現在創設を検討されている医療事故調査機関は、日本の刑法の制約もあり、WHOガイドラインの掲げる真相究明、再発防止のための事故調査とは程遠い制度設計となっています。私たち全国医師連盟は、医療事故調査機関の目的は真相究明と再発防止に特化すべきだと、主張してきました。厚労省の事故調査機関設置法案には、看過できない問題があると考えます。

 今回、医療事故調査機関設立を目的とした医療法改正に関し、各学会および医療団体としての見解をお尋ねしたく、本質問を送付致しました。ここに質問内容を掲載いたします。御回答は、後日掲載する予定です。

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【質問内容】

(1)院内調査を中心とする制度では、医療機関内部において利害対立が生じた場合に、公正な調査が行われる保障はなく、病院管理者側が特定の医療従事者個人をスケープゴートに仕立て、責任を押しつける危険があります(東京女子医大事件の反省)。医療従事者個人が院内調査の結論について不服がある場合に、第三者機関に対して事故調査を依頼する道筋を設けるべきであると考えますが如何でしょうか?


(2)厚労省案では、刑事捜査や刑事訴追の抑制に関し、法的な規制がなされていません。法務省・検察庁・警察庁等の関係機関との公式な取り決めすら無く、警察・検察が自主的に捜査や訴追を手控えることを期待するのみに留まっています。本来、刑事訴訟法を改正し、事故調査が刑事捜査に優先することを明記すべきです。次善の策として、事故調査を刑事捜査に先行させる(事故調調査中の刑事介入の原則見合わせ)との合意を検察庁・法務省などと文書で取り付けることが必要と考えますが如何でしょうか?


(3)現行法下では、医療者個人が医療事故の刑事責任を問われる可能性があり、事故調査によって得られた証言の取り扱いには留意すべきです。事故の真相に迫るためには、医療従事者が隠し立てすることなく、全てを安心して供述してもらわなければなりません。そのためには、事故調査で得られた資料のうち、カルテ等客観的な資料を除いた関係者の証言部分については、刑事裁判の証拠にできないことを刑事訴訟法等に定める必要があります。もし、刑事裁判における証拠採用の余地を残すのであれば、黙秘権の保障(憲法38条)に反すると考えます。上述の手当てが成されなければ、事故調査の対象者に黙秘権を認めなければならないと考えますが、如何でしょうか?


(4)上述のとおり、WHOガイドラインの掲げる真相究明、再発防止を目的とした事故調査のためには、現行刑法が障害となっています。特に、医療事故のみに限らず、システムエラーによる事故調査の制度設計を困難にしている「業務上過失致死罪(刑法211条第一項前段)」の廃止や親告罪化等の改正を、将来的には行うべきであると考えますが、如何でしょうか?


(5)昨年「あり方検討部会」の第8回(2012年10月26日)において、厚労省医政局医事課長の田原克志氏が医師法21条で警察への届け出が義務づけられた異状死体の定義について、「医師が死体の外表を見て検案し、異状を認めた場合に警察署に届け出る。これは診療関連死であるか否かにかかわらない」と述べ、これまでの厚労省の21条解釈を事実上撤回しました。これによって、医療事故の刑事立件急増の契機になった、医師法21条の拡大解釈問題が解決しました。また、この10年間で、電子カルテ導入によるカルテ改竄の防止や、各病院内で様々な事故防止の努力が重ねられています。田原氏の解釈変更発言によって、医師法21条の改正の意義は薄れ、より有益な医療事故調査機関設立に向けて、時間の猶予が与えられたと我々は考えており、拙速な事故調査機関の設立に反対しております。この点については、どのような見解をお持ちでしょうか?


6.私たちは、現状で一番効果がある医療安全対策は、勤務医の長時間労働の是正であり、急性期病院での労働基準法遵守、交替制勤務導入のためには、急性期病院集約化による一病院当たりの医師数の増加が欠かせないと考えています。当直明けの手術等、危険な労務環境を改善するためにどのような具体的な方策を考えておられますか?

以上。

【参考文献】

1.第12回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000003005u.html

2."事故調"の創設法案、今秋国会の提出目指す
  院内調査先行、遺族の第三者機関への依頼も可
  2013年4月19日 橋本佳子(m3.com編集長)
 http://www.m3.com/iryoIshin/article/170536/

3.WHO GUIDELINES FOR ADVERSE EVENT REPORTING AND LEARNING SYSYTEMS
 http://www.who.int/patientsafety/events/05/Reporting_Guidelines.pdf#search=

4. 医療の安全確保と診療の継続に向けた、医療関連死および健康被害の原因究明・再発防止等に関する試案 [平成20年11月12日 全国医師連盟]
 http://zennirenn.com/opinion/2012/03/-201112.html

5. Vol.179 医療事故調、秋の陣に向けて
 井上法律事務所 弁護士 井上 清成 2013年7月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
 http://medg.jp/mt/2013/07/vol179-1.html

6. Vol.168 医療法改正反対 WHOガイドラインに沿った証拠制限契約の導入へ
 井上法律事務所 弁護士 井上 清成 2013年7月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
 http://medg.jp/mt/2013/07/vol168-who.html

7. Vol.38 医療事故調をめぐる議論の現状と行方?ついに正常化した医師法21条の解釈?
 諫早医師会副会長 満岡 渉 2013年2月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
 http://medg.jp/mt/2013/02/vol38-21.html

8. 医療事故調査関連の医療法改正案への緊急声明
 平成25年4月20日 一般社団法人全国医師連盟 執行部
 http://zennirenn.com/opinion/2013/04/post-21.html

9. 業務上過失致死傷罪を廃止すべきである
 2013年4月20日 全国医師連盟
 http://zennirenn.com/opinion/2013/04/post-20.html

10. Vol.1 ◆"医療事故調"の議論は8合目
 「厚労省案には日医案が反映されている」
 2013年6月17日 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
 http://www.m3.com/iryoIshin/article/174490/

11. Vol.2◆医師法21条の改正は至難の業
 "入口"と"出口"で刑事介入なくしたい
 2013年6月19日 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
 http://www.m3.com/iryoIshin/article/174491/

12. 厚労省は正しい解釈伝えよ――協会 医師法21条問題で記者会見
 東京保険医協会
 http://www.hokeni.org/introduction/activity/activity2013/130215ishihou21.html

2013年08月10日 全国医師連盟

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