1. TOP
  2. イベント・ニュースリリース
  3. [メディアの方へ]奈良県立奈良病院 時間外手当等請求訴訟の高等裁判所判決確定に際する全国医師連盟の見解

イベント・ニュースリリース

[メディアの方へ]奈良県立奈良病院 時間外手当等請求訴訟の高等裁判所判決確定に際する全国医師連盟の見解

 宿日直勤務を時間外労働と認めないのは違法として、県立奈良病院の産婦人科医が割増賃金の支払いを求めた訴訟の上告審で、2013年2月12日に最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)が奈良県の上告を受理しない決定をしたとする報道がされました。この決定により、県に約1540万円の支払いを命じた一・二審判決が確定しました。私たち全国医師連盟は、本件の最高裁による上告不受理決定は妥当な判断であると評価し、歓迎します。

 大阪高等裁判所の判決文が裁判所判例検索システムでは公表されていないため、高裁判決時の報道等の限られた情報に基づく見解になりますが、本裁判が、単に宿直中の実労働に対する時間外賃金支払いを求めたものではなく、一定の診療等の日常業務を伴う宿日直の場合、宿直全体を時間外勤務と認定するか否かを争点としているものであると、私たちは理解しています。そして、高裁では、原告らの宿日直勤務の態様・内容によれば、その全体を割増賃金の対象たる時間外労働時間とみることができるとの認定がなされました。この宿直か夜間勤務かという問題は、単に宿直中の実労働部分に対する時間外賃金支払いを求めたものではなく、勤務時間に算定されない「宿直」という形態をとることにより、勤務医が長時間連続労働に晒されることの是非を問うものでもあります。

 現在でも、勤務医の宿直の形で夜間診療を行っている救急応需病院は少なくなく、夜間宿直時間帯から翌日の通常診療時間帯までに及ぶ長時間連続勤務が、勤務医の心身の安全や医療安全を大きく脅かしています。今回の最高裁の判断で高裁判決が支持されたことにより、これらの問題点が浮き彫りになり、各病院管理者は自施設の労務管理を見直す必要に迫られたと言えましょう。

 勤務医を短期間で大幅に増加することは不可能です。勤務医の労働環境改善には、一病院当たりの勤務医数を増加し、交替制勤務を導入するための急性期病院の集約化や、医師の業務の一部を他業種にシフトすること等による医師の労働生産性向上が欠かせません。

 医療現場における適正な労働環境の確保は、国民の医療安全確保のためにも不可欠であり、本判決を踏まえて、総ての医療現場における労働環境・待遇の適正化が推進されることを期待します。また、国(厚労省、労働基準局)・地方自治体及び各医療機関の管理者がこの問題に真摯に取り組み、制度上、必要な措置を速やかに講じることを切望します。

2013年2月21日
一般社団法人全国医師連盟代表理事  中島恒夫

参考文献
・「医師の宿日直は通常勤務」、高裁判決の全国への影響大
 大阪高裁が一審判決支持、奈良県立奈良病院、時間外手当裁判
 2010年11月17日 橋本佳子(m3.com編集長)
 http://www.m3.com/iryoIshin/article/128415/

・「宿直」扱いは違法、奈良地裁が時間外手当支払い求める
 「日本の医療のあり方に一石を投じた判決」と県担当局長
 2009年4月23日 橋本佳子(m3.com編集長)
 http://mrkun.m3.com/mrq/community/message/view.htm?cmsgId=201011161458095195&msgId=201011161452134124&mrId=ADM0000000

・平成18(行ウ)第16号 時間外手当等請求事件
 平成21年4月22日 奈良地方裁判所
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090703144644.pdf

・奈良病院医師の宿日直勤務の時間外手当請求判決に関する声明
 全国医師ユニオン
 http://union.or.jp/98/post_19.html

・「宿直扱い」違法、最高裁不受理で確定
 県立奈良病院の産婦人科医2人の「時間外手当」訴訟
 2013年2月13日 橋本佳子(m3.com編集長)
 http://www.m3.com/iryoIshin/article/166230/

2013年02月21日 全国医師連盟

全国医師連盟グッズ
イベントのお知らせ
メディアの方へ
おすすめリンク
リンク集
全医連メルマガ(無料)申し込みフォーム
Loading